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和菓子と季節感

文詞付遺文

先日、京菓子についての講演拝聴の機会がありました。私にとっては、よそでいただいたことはあるのですが、常では注文もできないお店のご主人が2時間にわたってお話下さいました。

「季節感と和菓子」という題目でした。メモしておきたいと思います。

〈和菓子の発展〉
・7世紀から8世紀にかけて遣唐使により唐菓子が入ってきた。小麦粉を練って胡麻油などで揚げたものである。現代の亀屋清永さんの清浄歓喜団(セイジョウカンキダン)にその形が伝えられている。
・中世の菓子は宮中・神社・仏閣の供物だった。
・13世紀以降、禅宗の僧侶やその当時の中国の人が点心を伝えた。その中に羊羹・饅頭が含まれていた。
・当時は一日2食であり、その中間に食べるものが点心であった。羊羮・饅頭・麺類を食べた。
 羊羮は羊肉を使ったものであったが、僧侶は肉食は禁じられているので、大豆に転化して汁と食べた。
・甘い羊羮はおそらく室町時代後期にできあがった。
 (寒天を使った羊羹は江戸時代後期にできあがった。)
室町時代後期に、南蛮菓子が伝わった。
 カステラ・パン・ボーロ・金平糖・カルメラ・ビスケット。材料を考えると洋菓子か。
・戦国・安土・桃山時代に黒砂糖が作られた。
  この頃に茶の湯が盛んになる。
  茶の湯の菓子は昆布や、ふのやき。ふのやきは餡ではなく味噌を使った。
【この頃までは和菓子に季節感は入っていなかった。】

・江戸時代に社会が安定し、当時の中国から白砂糖が入ってきた。
・江戸時代前期は菓子に少し砂糖が入るくらいであった。
・江戸時代中期の元禄時代に、上方・京都で美意識が高まり、はんなりした高貴で優美な様を菓子に取り入れるようになった。
 これが上菓子となり全国に広まった。
  江戸では餅菓子と団子が中心に食べられていた。庶民的で簡素だった。※おいしそう・・・
・上菓子の色・形・銘は元禄の上方でできた。
【この元禄期に季節感を取り入れた。】

〈和菓子の材料〉
・和菓子の定義:和菓子とはお米をはじめ穀物や豆を原材料として、人の手を使ってつくる加工品。
・料亭の出汁が菓子屋のあんではないか。
・つぶあんは小豆と砂糖を煮詰めてできる。
・こしあんはさらす目数(70目60目)の細かさによって、砂糖の量が同じでも口当たりが違う。京都には何軒もあんこやさんがあるが、【こしあんが店の味】ではないか。
・なぜあんこは小豆なのか。答えは、豆に50%以上の澱粉を含んでいないと、あんこにならないからである。小豆は適していた。大豆の澱粉は15%である。
 さらして練ったときに、澱粉をを蛋白質の膜が包み、さらさらになる。これにも小豆は適している。大豆はこわれやすく泥状になる。
・秋は小豆がとれる季節である。新小豆は蛋白質の膜もしっかりしていないので、鍋で練り上げると焦げやすく、粘りも強くなる。
・年明けの2月から4月にとれる春の小豆がベストないいあんの原料となる。
・一年越した秋の小豆も原料として問題はない。とりたてがいい、というものではない。
※餡の話が熱かったです!

〈京都の地域特性〉
・地形:盆地であり季節の変化がはっきりとしている。
・原料:良質の穀物の産地である丹波が近い。
・砂糖 :京都に直接入ってきた。
・水 :良質である。
・宮中・神社・仏閣があり儀式用、茶道用の菓子が発達した。
・生活が豊かな地域でもある。
・感性、美的感覚も優れている。
・参考資料がたくさんあった。
・貴族が菓子を楽しむのを、庶民も身近に感じていた。

京菓子に季節感を加える方法〉
①素材はそんなにたくさんない。
  栗、ぎんなん、えんどう豆、わらび粉
②色・かたち
 ⅰ花の形に作り上げる。
 ⅱきんとんの色
   緑の上に白で松の雪
   緑の上に黄色で菜の花
   緑の上に紫で菖蒲、藤 を表現する。

京菓子に季節感を加えた理由〉
・味覚は五覚の中で一番鈍感なので、見た目が美味しさをまず想像させる。
・菓子には器がないので、季節を加えて、銘をつけて、お客さんにおいしく召し上がってもらいたい。これが最終目標。どうして季節感を加えたのかもこれが答え。
【おいしく食べてほしい。】

節句月と和菓子〉
1月 菱花びらもち 川端道喜さん 明治中頃に売り出したか
3月  ひちぎり(ひきちぎったという説有り) お菓子ではないが、白酒 桃の花
5月  ちまき  鞍馬の笹は今はない (色、香りよく、産毛がなかった)
   柏餅  緑色の新葉を使っているのは、とらやさんくらい
(笹の葉や柏葉という素材面は厳しくなっている。個人に分けてもらうしかない状態である。山へ採りに行く方は高齢化されたし、若い方がそれだけをしても生計がたたない状態である。)
7月 七夕にはこれという決まりのお菓子はない。
9月 昔からの決まったお菓子はない。

〈季節感と商品〉
 丹波の栗
  9月 わせ
  10月半ば なかて
  10月後半 おくて
  11月 くりむしが入ってくるので、おいしいのなし
(栗の瓶詰めは年中あるし、防腐処理して年中あるものもある。)
・菓子屋としては、「この時期にする」というお菓子がある。
(現代では季節感を引っ張って売れるけど)
・年明けて3・4月はわらびもち、9月はくりきんとんと思ってその時期に待っていてもらえるとうれしい。
・お客さんとしては もうないの?という声もあるけれど、ゆっくり来年まで待つ。
※このご主人と菓子、そしてその先にいるお客さんとの関係性に、季節を感じることの厳しさを思いました。注文に対応できないなどということでは決してなく、日本の季節感と和菓子の関係がそうさせるのでしょうか。

〈おまけ〉
講演中にきんとんとわらびもちづくりの実演がございました。本返し法という水を少なくして沸騰させ、熱湯を一気に加えて透明にする方法でわらびもちをつくるときに、底が半球形の銅鍋をお使いでいいなあ、と思いました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。