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草餅

山家

https://www.instagram.com/p/BRFsmtAgqS0/
祖母の小豆
三十年ほど前、薄い水色の一升瓶のガラスのむこうに、乾いた小豆のさやの欠片こまごまとしたもとの一緒に、小豆が八分目まで入っていました。 小豆のさやは枯れた黄土色で中はそれよりも白く、乾ききってかさかさになれば、小豆がこぼれ出てきます。さやは豆のふくらみを残して、ねじれていました。ざーっと言う小豆の音。どこの畑でつくっていたのでしょう。いまはもうわかりません。
この草餅の小豆は、地元野菜の直売所で買いました。
こしあん作りも餅皮作りも、方法を少しずつ学んで失敗しなくなりました。
餅ではなく団子地で作れば、もっと手間がかかったでしょう。

春雨や 蓬をのばす 艸の道(松尾芭蕉
今日は午後過ぎから雨です。

やぶ椿の花

早春

https://www.instagram.com/p/BQ-dFY8gUm9/
椿は春の季語ですね。
庭の椿を探したのですが、全てつぼみの木であったり、よく開いた花ばかりであったりで、なかなか描き頃の花がありません。そうして庭をあちこち歩いていると、山にあるよと言われて、見に行きました。
久しぶりに歩いた野辺の道は白や赤紫の枯れ草の下に緑の若草が隠れています。花は見つけていただいたので、ひなまつりに草ダンゴをお供えすべく、小さなヨモギの葉を摘んで帰りました。山近くの暖かな温室の中でのみ、ヨモギオオイヌノフグリは萌はじめ、咲きはじめです。早春の空気と枯れ草の地面に、小さな頃の思い出がよみがえりました。
椿は、お茶室で冬椿の頃から拝見します。侘びさびについて「真に心に迫るが故に美しくある必要はなく…権威を伴わない支配」と語った外国人作家のことを思い出しました。

春一番

早春

https://www.instagram.com/p/BQpOgOVgiDH/
本日、近畿地方春一番が吹きました。四年ぶりだそうです。

白描の美@大和文華館

梅付紅梅

シンポジウム「白描画再考ー日本絵画史におけるその意義ー」が開催されました。美術史学会西支部大会をかねていたようで、
学習院大学 佐野みどり教授「白描物語絵の享受と造形ー小絵を基軸としてー」
大和文華館 学芸員 古川攝一氏「中世白描画における図像の位置ーやまと絵白描画との関わりをめぐってー」
東京国立博物館 土屋貴裕氏「白描歌仙絵の再検討ー歌仙絵の起源、および「似絵」をめぐる諸問題」
大和文華館 学芸員 宮崎もも氏「江戸時代における白描画の展開ー住吉派と復古やまと絵派に注目して」
福井県立美術館 椎野晃史氏「近代白描画の諸相ー白描画の終焉」
の講演・報告がございました。
シンポジウムは一回性、ライブ感が魅力と会場でもおっしゃっていましたので、内容は記載を控えようと思うのですが、私は卒業製作が枕草子から取材いたしました白描画屏風でありまして、感慨深くしあわせに拝聴いたしました。

大和文華館は門から建物の入り口に至るまでのアプローチに、花木が植わっています。今は紅白の梅が見頃です。珍しいしだれ桜が入り口前広場の白洲横にございまして、桜の頃はみごとです。そのほか、笹百合、山吹、椿など季節の花の工夫が来館時の楽しみを増します。

琴 弦の張り替え

管弦付舞妓

弦を長い間張ったままの琴で練習しておりましたが、十日ほど前に十の弦が切れてしまい、地元の和楽器店に修理をお願いいたしました。楽器店の方は朝に来られました。全ての弦を張り替えていただくことになりました。

夕方に新しい張りで爪弾いたときの、音の透明なこと!

水晶の玉を弾いているようでした。

伝え聞いたところによると、琴の弦は五年で張り替えるそうなのですが、張り替えて一年後にもう一度締めていただく必要があるようです。それから四年は弾くことができるそうです。
そういえば、琴の種類は違いますが、明石の君は光源氏と別れるときに、この琴の弦が...と惜しまれていましたね。

和菓子と季節感

文詞付遺文

先日、京菓子についての講演拝聴の機会がありました。私にとっては、よそでいただいたことはあるのですが、常では注文もできないお店のご主人が2時間にわたってお話下さいました。

「季節感と和菓子」という題目でした。メモしておきたいと思います。

〈和菓子の発展〉
・7世紀から8世紀にかけて遣唐使により唐菓子が入ってきた。小麦粉を練って胡麻油などで揚げたものである。現代の亀屋清永さんの清浄歓喜団(セイジョウカンキダン)にその形が伝えられている。
・中世の菓子は宮中・神社・仏閣の供物だった。
・13世紀以降、禅宗の僧侶やその当時の中国の人が点心を伝えた。その中に羊羹・饅頭が含まれていた。
・当時は一日2食であり、その中間に食べるものが点心であった。羊羮・饅頭・麺類を食べた。
 羊羮は羊肉を使ったものであったが、僧侶は肉食は禁じられているので、大豆に転化して汁と食べた。
・甘い羊羮はおそらく室町時代後期にできあがった。
 (寒天を使った羊羹は江戸時代後期にできあがった。)
室町時代後期に、南蛮菓子が伝わった。
 カステラ・パン・ボーロ・金平糖・カルメラ・ビスケット。材料を考えると洋菓子か。
・戦国・安土・桃山時代に黒砂糖が作られた。
  この頃に茶の湯が盛んになる。
  茶の湯の菓子は昆布や、ふのやき。ふのやきは餡ではなく味噌を使った。
【この頃までは和菓子に季節感は入っていなかった。】

・江戸時代に社会が安定し、当時の中国から白砂糖が入ってきた。
・江戸時代前期は菓子に少し砂糖が入るくらいであった。
・江戸時代中期の元禄時代に、上方・京都で美意識が高まり、はんなりした高貴で優美な様を菓子に取り入れるようになった。
 これが上菓子となり全国に広まった。
  江戸では餅菓子と団子が中心に食べられていた。庶民的で簡素だった。※おいしそう・・・
・上菓子の色・形・銘は元禄の上方でできた。
【この元禄期に季節感を取り入れた。】

〈和菓子の材料〉
・和菓子の定義:和菓子とはお米をはじめ穀物や豆を原材料として、人の手を使ってつくる加工品。
・料亭の出汁が菓子屋のあんではないか。
・つぶあんは小豆と砂糖を煮詰めてできる。
・こしあんはさらす目数(70目60目)の細かさによって、砂糖の量が同じでも口当たりが違う。京都には何軒もあんこやさんがあるが、【こしあんが店の味】ではないか。
・なぜあんこは小豆なのか。答えは、豆に50%以上の澱粉を含んでいないと、あんこにならないからである。小豆は適していた。大豆の澱粉は15%である。
 さらして練ったときに、澱粉をを蛋白質の膜が包み、さらさらになる。これにも小豆は適している。大豆はこわれやすく泥状になる。
・秋は小豆がとれる季節である。新小豆は蛋白質の膜もしっかりしていないので、鍋で練り上げると焦げやすく、粘りも強くなる。
・年明けの2月から4月にとれる春の小豆がベストないいあんの原料となる。
・一年越した秋の小豆も原料として問題はない。とりたてがいい、というものではない。
※餡の話が熱かったです!

〈京都の地域特性〉
・地形:盆地であり季節の変化がはっきりとしている。
・原料:良質の穀物の産地である丹波が近い。
・砂糖 :京都に直接入ってきた。
・水 :良質である。
・宮中・神社・仏閣があり儀式用、茶道用の菓子が発達した。
・生活が豊かな地域でもある。
・感性、美的感覚も優れている。
・参考資料がたくさんあった。
・貴族が菓子を楽しむのを、庶民も身近に感じていた。

京菓子に季節感を加える方法〉
①素材はそんなにたくさんない。
  栗、ぎんなん、えんどう豆、わらび粉
②色・かたち
 ⅰ花の形に作り上げる。
 ⅱきんとんの色
   緑の上に白で松の雪
   緑の上に黄色で菜の花
   緑の上に紫で菖蒲、藤 を表現する。

京菓子に季節感を加えた理由〉
・味覚は五覚の中で一番鈍感なので、見た目が美味しさをまず想像させる。
・菓子には器がないので、季節を加えて、銘をつけて、お客さんにおいしく召し上がってもらいたい。これが最終目標。どうして季節感を加えたのかもこれが答え。
【おいしく食べてほしい。】

節句月と和菓子〉
1月 菱花びらもち 川端道喜さん 明治中頃に売り出したか
3月  ひちぎり(ひきちぎったという説有り) お菓子ではないが、白酒 桃の花
5月  ちまき  鞍馬の笹は今はない (色、香りよく、産毛がなかった)
   柏餅  緑色の新葉を使っているのは、とらやさんくらい
(笹の葉や柏葉という素材面は厳しくなっている。個人に分けてもらうしかない状態である。山へ採りに行く方は高齢化されたし、若い方がそれだけをしても生計がたたない状態である。)
7月 七夕にはこれという決まりのお菓子はない。
9月 昔からの決まったお菓子はない。

〈季節感と商品〉
 丹波の栗
  9月 わせ
  10月半ば なかて
  10月後半 おくて
  11月 くりむしが入ってくるので、おいしいのなし
(栗の瓶詰めは年中あるし、防腐処理して年中あるものもある。)
・菓子屋としては、「この時期にする」というお菓子がある。
(現代では季節感を引っ張って売れるけど)
・年明けて3・4月はわらびもち、9月はくりきんとんと思ってその時期に待っていてもらえるとうれしい。
・お客さんとしては もうないの?という声もあるけれど、ゆっくり来年まで待つ。
※このご主人と菓子、そしてその先にいるお客さんとの関係性に、季節を感じることの厳しさを思いました。注文に対応できないなどということでは決してなく、日本の季節感と和菓子の関係がそうさせるのでしょうか。

〈おまけ〉
講演中にきんとんとわらびもちづくりの実演がございました。本返し法という水を少なくして沸騰させ、熱湯を一気に加えて透明にする方法でわらびもちをつくるときに、底が半球形の銅鍋をお使いでいいなあ、と思いました。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

雪 と月 と花の香り

梅付紅梅

淡青色とわすれな草色の空に乳白色の大きなお月さまが輝くなか、藍白色の薄雲と木枯れた大和の山々を遠くにして降る細雪に自然の美しさを感じました。

久しぶりに谷崎潤一郎先生訳の源氏物語をとりだし、これ以上どうしろというのだろうと思いながら、若菜上・下を読みました。
ここ五日ほど冴返っております。重みで折れた水仙を庭から摘んで、描きはじめました。作業場に墨と水仙の香りがいたします。
https://www.instagram.com/p/BQcdjpChDYC/

この季節はろうばいも梅も良い香りです。